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鼻咽頭関連リンパ組織へのリンパ球ホーミングのメカニズムを解明-JEM誌に論文掲載



本学薬学部の平川城太朗 助教、川島博人 准教授(免疫微生物学分野: 今井康之 教授)らの研究成果が、2011年5月9日付けの米国科学雑誌「The Journal of Experimental Medicine (JEM)」電子版に掲載されました。

<掲載された論文>
Essential role of peripheral node addressin in lymphocyte homing to nasal-associated lymphoid tissues and allergic immune responses.
Yukari Ohmichi*, Jotaro Hirakawa*, Yasuyuki Imai, Minoru Fukuda and Hiroto Kawashima (*These authors contributed equally to the work.)

(別ウィンドウで「JEM」のサイトが開きます)

鼻咽頭関連リンパ組織nasal-associated lymphoid tissues (NALT)は、ハウスダストや花粉などの抗原が侵入し集積する鼻粘膜の免疫組織で、鼻腔を経てNALTに集積した抗原により免疫応答が誘導され、アレルギー性鼻炎や花粉症などが発症します。しかし、免疫細胞がどのようにしてNALTへ動員されるかについては明らかにされていませんでした。

本研究では、糖鎖に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素ノックアウトマウスを用いて、NALTへのリンパ球ホーミングには硫酸化糖鎖の一種であるperipheral node addressin (PNAd)が必須の役割を果たすことを明らかにしました。また、硫酸基転移酵素ノックアウトマウスでは野生型マウスと比べ、鼻から投与した抗原に対するくしゃみやIgE産生などのアレルギー性の免疫応答が顕著に低下することを発見し、その理由として、免疫応答を抑制するCD4+CD25+制御性T細胞がNALTに蓄積し免疫応答を負に制御することを見出しました。さらに、このCD4+CD25+制御性T細胞は一般的なCD4+CD25-T細胞とは異なり、PSGL-1及びCD44と呼ばれる接着分子を補助的に用いてNALTへとホーミングすることが分かりました。

今回得られた知見は、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患をターゲットとする分子標的治療薬の開発につながるものと期待されます。